「マーケティングから渡されるリードの質が低い」「インサイドセールスが渡した商談を、営業が追いかけてくれない」。分業体制でインサイドセールスを運用していると、部門間の連携に関するこうした悩みがよく聞かれます。

連携がうまくいかない原因の多くは、「どの状態のリードを、いつ、誰に渡すのか」という引き渡し基準があいまいなことにあります。この記事では、インサイドセールスとマーケティング、フィールドセールスの連携を強化するために、MQL・SQLといった引き渡し基準の考え方と決め方を解説します。

インサイドセールスの連携が重要な理由

インサイドセールスは、マーケティングが集めたリードを受け取り、関係を育てて商談の機会をつくり、フィールドセールスに引き渡す役割です。つまり、前後の部門とのつながりの中でしか成果を出せません。インサイドセールスの基本的な位置づけはインサイドセールスとはの記事でも解説しています。

連携が弱いと、次のような問題が起こります。

  • 関心の低いリードまで大量に渡され、インサイドセールスの対応が追いつかない
  • 検討の段階にない相手を商談として渡し、フィールドセールスの時間が無駄になる
  • 引き渡した商談が放置され、せっかくの機会を逃す
  • 部門同士が「相手のせいで成果が出ない」と考え、対立が生まれる

MQL・SQLとは

部門間でリードを受け渡すときの基準として、よく使われるのがMQLとSQLという考え方です。

用語意味主な受け渡し
MQL(Marketing Qualified Lead)マーケティング活動によって、営業がアプローチする価値があると判断されたリードマーケティング → インサイドセールス
SAL(Sales Accepted Lead)インサイドセールスが受け取り、対応すると判断したリードインサイドセールス内での受け入れ
SQL(Sales Qualified Lead)インサイドセールスが確認し、商談として進める価値があると判断したリードインサイドセールス → フィールドセールス

大切なのは、用語そのものよりも「自社にとってのMQLとSQLの条件」を、関係する部門で合意しておくことです。同じ言葉を使っていても、部門ごとに思い描いている状態が違えば、連携はうまくいきません。

引き渡し基準の決め方

1. 受注した顧客の特徴を振り返る

まず、過去に受注した顧客がどんな企業で、どんな課題を持ち、どんな経緯で検討を始めたのかを振り返ります。業種、企業規模、担当者の役職、最初の接点などを整理すると、「狙うべきリード」の姿が見えてきます。

2. 属性と行動の両面で条件を考える

MQLの条件は、企業の属性と、リードの行動の両面から考えます。属性とは、業種や企業規模、部署、役職などです。行動とは、資料のダウンロード、セミナーへの参加、料金ページの閲覧などです。属性が合っていても関心が低い場合や、関心が高くても対象外の企業である場合をどう扱うかも決めておきます。

3. 商談として渡す状態を言葉にする

SQLの条件は、インサイドセールスとフィールドセールスで話し合って決めます。課題が明確になっているか、検討に関わる人が分かっているか、検討の時期の目安があるかなど、商談として成り立つ状態を具体的な言葉にします。ヒアリングで確認すべき項目はヒアリング術の記事も参考にしてください。

4. 試して見直す

最初から完璧な基準をつくる必要はありません。まず決めて運用し、渡したリードや商談がその後どうなったかを確認しながら見直していきます。

リードの6段階を引き渡し基準に活用する

引き渡し基準を考えるときは、リードの状態を段階で定義すると便利です。インサイドセールスコンソーシアムでは、リードの状態を次の6段階で定義しています。

段階状態引き渡し基準としての使い方の例
BYNAMEキーマンの特定担当者・決裁者が分かった段階。マーケティングからの受け取り対象とする
KEEP情報提供の許諾今後の情報提供に了承を得た段階。継続的な関係づくりを始める
PROBLEM課題把握具体的な課題が分かった段階。インサイドセールスが重点的に対応する
SOLUTION解決策の検討解決策を検討し始めた段階。商談化に向けた働きかけを強める
PROSPECT見込み客時期や検討体制が見えてきた段階。SQLの候補とする
PASSUPアポ獲得商談の日程と参加者が決まった段階。フィールドセールスに引き渡す

例えば、「BYNAME以上をMQLとしてインサイドセールスが受け取る」「PROSPECTの条件を満たし、PASSUPに至ったものをSQLとしてフィールドセールスに渡す」のように決めておくと、各部門が同じ物差しでリードの状態を話せるようになります。

連携を強化するための仕組み

共通の目標を持つ

各部門が自分の数字だけを追うと、部分最適に陥ります。リードの件数や商談の件数だけでなく、受注など最終的な成果も部門共通の目標に加えましょう。KPIの考え方はKPI設計の記事で解説しています。

情報を同じ場所に記録する

CRMやSFA、MAなどのツールを使い、リードとのやりとりを一か所に記録します。どの部門の担当者が見ても、これまでの経緯が分かる状態にしておくことで、引き継ぎの抜け漏れを防げます。

定期的に振り返る場を設ける

週次や月次で、部門をまたいだ定例会議を開きます。次のような内容を確認すると、基準の見直しや改善につながります。

  • 各段階のリードと商談の件数、前回からの変化
  • 引き渡したリードや商談のうち、次の段階に進んだもの、止まっているもの
  • 受注・失注した商談の理由と、前の段階で確認できたこと
  • 引き渡し基準の見直しが必要な点

差し戻しのルールを決める

受け取ったリードや商談が基準を満たしていなかった場合に、どう扱うかも決めておきます。理由を添えて前の部門に戻す、インサイドセールスで再度フォローするなど、ルールがあれば感情的な対立を避けられます。

差し戻されたリードや商談は、基準を見直すための貴重な材料でもあります。どんな理由で差し戻しが起きているのかを定例会議で共有し、同じ理由が続く場合は、MQLやSQLの条件、ヒアリングの項目、引き渡し時に記録する内容のどこを改善すべきかを話し合いましょう。差し戻しを責める場ではなく、仕組みを良くする場として扱うことが、部門間の信頼関係を築くポイントです。

よくある質問

Q. MQLの基準を厳しくするべきですか、緩くするべきですか?

A. どちらが正解ということはありません。厳しくしすぎると機会を逃し、緩くしすぎるとインサイドセールスの対応が追いつかなくなります。インサイドセールスの対応できる量と、その後の商談化の状況を見ながら調整しましょう。

Q. フィールドセールスが渡した商談を追いかけてくれない場合は?

A. SQLの基準がフィールドセールスの考える「商談」と合っていない可能性があります。渡した商談の結果を一緒に振り返り、基準をすり合わせ直しましょう。あわせて、受け取った商談への対応期限を決めておくと効果的です。

Q. 少人数で各部門を兼任している場合も基準は必要ですか?

A. 必要です。兼任の場合でも、リードの状態を段階で管理しておくと、どのリードに今どんな対応をすべきかが明確になります。将来、担当を分けるときの準備にもなります。

まとめ

インサイドセールスとマーケティング、フィールドセールスの連携を強化するには、MQL・SQLといった引き渡し基準を部門間で合意し、言葉にしておくことが出発点です。受注した顧客の特徴をもとに条件を考え、リードの段階定義を活用して共通の物差しをつくりましょう。共通の目標、情報の一元管理、定期的な振り返り、差し戻しのルールを整えることで、部門が一体となって成果を上げる体制に近づきます。

部門間の連携や引き渡し基準に課題がある方へ

インサイドセールスコンソーシアムのコンサルティングでは、ヒアリングと300項目を超えるチェック項目で現状を診断し、「真の課題」を特定します。改善策の設計から実行まで伴走します。無料相談会も実施しています。

コンサルティングの詳細を見る | 無料で相談する