「インサイドセールスを立ち上げることになったが、何から手をつければよいかわからない」という担当者の方は多いのではないでしょうか。
インサイドセールスの立ち上げは、人を配置して電話をかけ始めれば終わりではありません。目的と役割を決め、リードの扱い方をそろえ、数字で改善できる状態をつくる必要があります。この記事では、立ち上げの流れを「最初の90日」に分けて解説します。
立ち上げ前に決めておくべき3つのこと
1. インサイドセールスの目的
まず、「なぜインサイドセールスを立ち上げるのか」を明確にします。目的によって、担う業務も評価の指標も変わるためです。
- 放置されているリードを商談につなげたい
- フィールドセールスを受注に近い商談に集中させたい
- 新規開拓の商談数を増やしたい
- 既存顧客へのフォローを強化したい
目的が複数ある場合は、最初に注力するものを1つに絞ると、立ち上げ期の混乱を防げます。
2. 部門ごとの役割分担
マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスが、それぞれどこからどこまでを担当するのかを決めます。特に「どの状態になったら次の部門に引き渡すのか」という基準は、立ち上げ前に合意しておくことが重要です。
3. 対象とするリード
どのリードにアプローチするのかを決めます。資料請求やセミナー参加などのインバウンドリードを中心にするのか、ターゲットリストへのアウトバウンドも行うのかで、必要なスキルや体制が変わります。
最初の30日:仕組みの土台をつくる
リードの状態を定義する
リードの状態をいくつかの段階に分け、チームで共通の言葉として使えるようにします。インサイドセールスコンソーシアムでは、次の6段階で定義しています。
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| BYNAME | キーマンを特定できている |
| KEEP | 定期的な情報提供の許諾を得ている |
| PROBLEM | 課題を把握できている |
| SOLUTION | 解決策を検討している |
| PROSPECT | 見込み客になっている |
| PASSUP | アポイントを獲得し、商談として引き渡せる |
定義があれば、リードがどこで止まっているのかがわかり、改善の打ち手を考えやすくなります。
記録する仕組みを整える
SFAやCRMなどのツールで、誰に・いつ・どんな接点を持ち、どの状態になったかを記録できるようにします。ツールを入れる前に、「何を記録するのか」を先に決めておくと、入力の負担が増えすぎるのを防げます。
トークとメールの型をつくる
最初の電話で伝えること、ヒアリングする項目、送るメールの文面など、基本の型を用意します。最初から完璧を目指す必要はありません。運用しながら改善していく前提で、まずは使える型をつくりましょう。
31〜60日:運用を始め、数字を集める
小さく始める
いきなり全リードに展開するのではなく、対象を絞って運用を始めます。少人数・限られたリードで始めることで、問題が起きても早く気づき、修正しやすくなります。
行動と成果の数字を記録する
架電数、接続数、会話数、商談化数など、行動から成果までの数字を記録します。この時期は目標の達成よりも、「どこで数字が落ちているのか」を把握することが目的です。
フィールドセールスと定期的に振り返る
引き渡した商談がその後どうなったかを、フィールドセールスと定期的に確認します。「渡された商談の確度が低い」「ヒアリングした情報が足りない」といった声を早めに拾い、引き渡しの基準を調整しましょう。
61〜90日:改善し、目標を設定する
ボトルネックを特定して改善する
集めた数字をもとに、成果を妨げている箇所を特定します。たとえば、接続率が低いなら架電の時間帯やリストの質を、商談化率が低いならヒアリングの内容を見直す、といった具合です。
KPIと目標を設定する
運用で得た実績をもとに、現実的なKPIと目標を設定します。立ち上げ直後に根拠なく高い目標を置くと、件数を追うあまり商談の質が下がることがあるため、実績を見てから決めるのがおすすめです。
育成の仕組みを整える
運用の中で見えてきた「成果が出るやり方」を型として整理し、新しいメンバーにも教えられるようにします。今後の増員を見据えて、育成の手順や教材を用意しておきましょう。
立ち上げでよくある失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| アポ数だけを目標にして商談の質が下がる | 商談化後の結果もあわせて追い、引き渡し基準を決める |
| 部門間で責任の押し付け合いが起きる | 役割分担と引き渡しの基準を立ち上げ前に合意する |
| 担当者のやり方がばらばらになる | リードの定義と型をそろえ、定期的に更新する |
| 成果が出る前に体制を縮小してしまう | 立ち上げ期は数字を集める期間と位置づけ、評価の時期を決めておく |
立ち上げに向いている人材
立ち上げ期のメンバーには、決められた業務をこなす力だけでなく、うまくいかない点を見つけて改善を提案できる力が求められます。営業経験の有無にかかわらず、相手の話を丁寧に聞ける人、数字を使って振り返れる人、部門をまたいで調整できる人が向いています。
立ち上げ準備のチェックリスト
運用を始める前に、次の項目が決まっているか確認しましょう。
- インサイドセールスの目的と、最初に注力するテーマ
- マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの役割分担
- 商談として引き渡す基準と、引き渡すときに伝える情報
- リードの状態の定義と、記録のルール
- 最初にアプローチするリードの範囲
- トーク・メールの基本の型
- 週次で数字を振り返る場と参加者
- 立ち上げの成果を評価する時期と観点
引き渡しの基準を決めるときのポイント
フィールドセールスとの間で最も揉めやすいのが、商談として引き渡す基準です。基準を決めるときは、次の点を話し合っておきましょう。
- 最低限そろえる情報:課題、検討の時期、関わる人など、引き渡し時に必ず確認する項目
- 引き渡さないケース:情報収集だけが目的の場合など、商談にしない条件
- 差し戻しのルール:フィールドセールスが確度が低いと判断した場合の扱い
- 引き渡し後のフィードバック:商談の結果をインサイドセールスに戻す方法
よくある質問
Q. 立ち上げは何人から始めるのがよいですか?
A. 対象とするリードの量によりますが、最初は少人数で始め、運用の型ができてから増員するのがおすすめです。立ち上げのメンバーが型づくりの中心になるため、改善に前向きな人材を選びましょう。
Q. 立ち上げの成果はいつ判断すればよいですか?
A. 商材の検討期間によって異なります。検討期間が長い商材では、受注という結果が出るまでに時間がかかるため、まずは商談化数や引き渡し後の商談の進み具合など、途中の指標で判断するとよいでしょう。
Q. 社内だけで立ち上げるのが難しい場合はどうすればよいですか?
A. 外部のコンサルティングや代行会社を活用する方法があります。立ち上げの設計だけを支援してもらい、運用は社内で行うといった組み合わせも可能です。
まとめ
インサイドセールスの立ち上げは、次の流れで進めると失敗を防ぎやすくなります。
- 立ち上げ前:目的・役割分担・対象リードを決める
- 最初の30日:リードの定義、記録の仕組み、トークの型をつくる
- 31〜60日:小さく始めて数字を集め、フィールドセールスと振り返る
- 61〜90日:ボトルネックを改善し、KPIと育成の仕組みを整える
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