インサイドセールスで「アポは取れるのに商談がうまく進まない」「引き渡した商談の確度が低いと言われる」という悩みの多くは、ヒアリングに原因があります。
ヒアリングは、相手の課題を理解し、商談として引き渡すべきかを見極めるための、インサイドセールスの中心的なスキルです。この記事では、ヒアリングで聞くべき項目と質問例、うまく進めるためのコツを解説します。
インサイドセールスにおけるヒアリングの目的
インサイドセールスのヒアリングには、主に次の3つの目的があります。
- 相手の課題を理解する:何に困っていて、なぜそれを解決したいのかを把握します。
- リードの状態を見極める:今すぐ商談すべき相手か、関係を育てるべき相手かを判断します。
- 商談に必要な情報を集める:フィールドセールスがスムーズに提案できるよう、必要な情報を整理して引き渡します。
ヒアリングで聞くべき項目
ヒアリング項目を整理するときによく使われるのが「BANT」というフレームワークです。
| 項目 | 意味 | 確認すること |
|---|---|---|
| Budget | 予算 | 予算が確保されているか、目安はどのくらいか |
| Authority | 決裁権 | 誰が決裁し、誰が検討に関わるのか |
| Needs | 必要性 | どんな課題があり、なぜ解決したいのか |
| Timeframe | 導入時期 | いつまでに解決したいのか |
ただし、BANTをすべて最初の電話で聞き出そうとすると、尋問のようになってしまいます。まずは「課題(Needs)」を中心に聞き、ほかの項目は会話の流れの中で自然に確認していくのがポイントです。
リードの段階に応じて聞く内容を変える
リードの状態によって、ヒアリングで目指すゴールは変わります。インサイドセールスコンソーシアムでは、リードの状態を次の6段階で定義しています。
| 段階 | 状態 | ヒアリングのゴール |
|---|---|---|
| BYNAME | キーマンの特定 | 担当者・決裁者が誰かを知る |
| KEEP | 情報提供の許諾 | 今後も情報を送ってよいか了承を得る |
| PROBLEM | 課題把握 | 具体的な課題と背景を聞き出す |
| SOLUTION | 解決策の検討 | どんな解決策を検討しているかを知る |
| PROSPECT | 見込み客 | 時期・予算・検討体制を確認する |
| PASSUP | アポ獲得 | 商談の日程と参加者を決める |
今どの段階にいる相手なのかを意識すると、その電話で何を聞くべきかが明確になります。
場面別の質問例
現状を聞く質問
- 「現在は、どのような体制で進めていらっしゃいますか。」
- 「その業務には、どのくらいの人数や時間をかけていらっしゃいますか。」
課題を聞く質問
- 「今の進め方で、うまくいっていないと感じる点はありますか。」
- 「その課題は、いつごろから感じていらっしゃいますか。」
- 「その課題があることで、どんな影響が出ていますか。」
理想の状態を聞く質問
- 「理想としては、どのような状態になれば良いとお考えですか。」
- 「解決できたら、どんな変化を期待されていますか。」
検討の進め方を聞く質問
- 「ご検討は、どなたと一緒に進められる予定ですか。」
- 「いつごろまでに方向性を決めたいとお考えですか。」
- 「ほかに比較されているサービスや方法はありますか。」
ヒアリングをうまく進めるコツ
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
「どのような」「なぜ」で始まるオープンクエスチョンは、相手に自由に話してもらうのに向いています。一方、「〜ということでよろしいですか」というクローズドクエスチョンは、内容の確認や話を前に進めるときに使います。最初はオープンに広げ、最後はクローズドで確認する、という流れを意識しましょう。
相手の言葉を繰り返して確認する
「〇〇という点でお困りなのですね」と相手の言葉を繰り返すと、正しく理解していることが伝わり、相手も話を続けやすくなります。
「なぜ」を一歩深く聞く
表面的な課題だけでは、提案の方向性が定まりません。「それはなぜでしょうか」「具体的にはどのような場面で」と一歩深く聞くことで、本当の課題が見えてきます。
聞いた内容を記録して引き渡す
ヒアリングした内容は、フィールドセールスがそのまま提案に使えるよう、項目を決めて記録しましょう。引き渡しの情報がそろっていると、商談の初回から深い話ができ、受注率の向上につながります。
ヒアリングでよくある失敗
| 失敗 | 改善のポイント |
|---|---|
| 自社の説明ばかりしてしまう | 話す時間より聞く時間を長くすることを意識する |
| 質問を立て続けにして尋問のようになる | 相手の答えに一言反応してから次の質問に移る |
| 表面的な課題で止まってしまう | 「なぜ」「具体的には」で一歩深く聞く |
| 聞いた内容を記録していない | 記録する項目を決め、通話直後に残す |
ヒアリングシートの項目例
ヒアリングした内容を記録し、フィールドセールスに引き渡すためのシートの項目例です。自社の商材に合わせて調整してください。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 接点のきっかけ | 資料請求、セミナー参加など、最初の接点と関心を持った理由 |
| 現状 | 現在の体制、使っている方法やツール |
| 課題 | 困っていること、その背景と影響 |
| 理想の状態 | 解決できたら実現したいこと |
| 検討体制 | 担当者、決裁者、検討に関わる部署 |
| 時期・予算 | いつまでに決めたいか、予算の目安 |
| 比較対象 | ほかに検討しているサービスや方法 |
| リードの状態 | BYNAME〜PASSUPのどの段階か |
ヒアリング力を高めるトレーニング方法
- 録音の聞き返し:自分の通話を聞き、話している時間と聞いている時間の割合を確認します。
- 質問の書き出し:よく使う質問を書き出し、より深く聞ける言い回しをチームで考えます。
- ロールプレイ:お客様役と営業役に分かれ、課題を深掘りする練習をします。お客様役には「本当の課題」を事前に設定しておくと効果的です。
- 引き渡し後の振り返り:フィールドセールスから、商談で追加で聞く必要があった情報を教えてもらい、ヒアリング項目を見直します。
よくある質問
Q. 予算や決裁者を聞くと嫌がられませんか?
A. 会話の最初に聞くと警戒されやすくなります。課題や理想の状態を十分に聞いたあとに、「進めるとしたら、どなたとご相談される予定ですか」のように、相手の検討を手伝う姿勢で聞くと答えてもらいやすくなります。
Q. 1回の電話でどこまで聞けばよいですか?
A. すべてを1回で聞き出す必要はありません。リードの状態に応じて、その電話で目指す段階を決め、残りは次の接点で確認すれば十分です。
Q. 相手があまり話してくれない場合はどうすればよいですか?
A. 答えやすい事実の確認から始め、少しずつ考えや困りごとを聞く質問に移ると、話してもらいやすくなります。同じ業界でよくある課題を例に出して、「御社ではいかがですか」と尋ねるのも有効です。
オンライン会議でのヒアリングのポイント
電話だけでなく、オンライン会議でヒアリングする機会も増えています。オンラインでは、画面共有で資料や図を見せながら話せるため、相手の理解を深めやすいのが利点です。一方で、相手の反応が電話よりも読み取りにくい場面もあるため、要所で「ここまでで気になる点はありますか」と確認を挟むことを意識しましょう。
まとめ
インサイドセールスのヒアリングは、相手の課題を理解し、リードの状態を見極め、商談に必要な情報を集めるためのものです。BANTなどのフレームワークを参考にしつつ、課題を中心に聞き、リードの段階に応じてゴールを変えることがポイントです。質問の使い分けや「なぜ」を深める習慣で、ヒアリングの質を高めていきましょう。
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