インサイドセールスに新人が配属されたものの、「何から教えればよいかわからない」「先輩の横で見て覚えてもらうしかない」という状態になっていないでしょうか。教え方が決まっていないと、独り立ちまでに時間がかかるうえ、新人が不安を抱えたまま現場に出ることになります。
新人研修は、新人が早く成果を出せるようにするだけでなく、チーム全体の対応の質をそろえる機会でもあります。この記事では、インサイドセールスの新人研修について、入社から独り立ちまでのカリキュラム例と進め方のポイントを解説します。
インサイドセールス研修の全体像(研修の種類・学ぶべき内容・研修会社の選び方・効果測定)は「インサイドセールス研修とは?内容・カリキュラム・選び方と効果を出す進め方」で解説しています。
インサイドセールスの新人研修が重要な理由
インサイドセールスは、電話やメール、オンライン会議を使って顧客と接点をつくる仕事です。営業経験がある人でも、対面の営業とは会話の進め方や求められる判断が異なります。仕事の全体像はインサイドセールスとはで解説しています。
新人研修が整っていないと、次のような問題が起こりやすくなります。
- 教える人によって内容が違い、新人が混乱する
- 自己流のトークが身につき、後から直すのに時間がかかる
- 先輩の業務が教えることで圧迫され、チームの成果が下がる
- 成果が出ない期間が長く続き、新人が自信をなくして離職につながる
特に最後の点は重要です。早い段階でつまずきを放置すると、新人の定着にも影響します。定着のための工夫はインサイドセールスの離職を防ぐ方法もあわせてご覧ください。
新人研修の前に準備しておくこと
新人を迎える前に、次のものを用意しておくと、研修がスムーズに進みます。
| 準備するもの | 内容 |
|---|---|
| 研修の計画表 | いつ、誰が、何を教えるかを週ごとに整理したもの |
| 商材の資料 | 商材の特徴、よくある質問と答え、顧客の事例 |
| トークスクリプト | 初回連絡やヒアリングの基本の流れ |
| お手本の録音 | うまくいった通話の録音と、その解説 |
| 独り立ちの基準 | どの状態になったら一人で担当してよいかの目安 |
| 教育担当者 | 新人の相談相手となる先輩と、その役割分担 |
中でも「独り立ちの基準」は、ゴールを新人と共有するために欠かせません。基準がないと、新人は自分がどこまでできているのかがわからず、教える側も判断がぶれてしまいます。
入社から独り立ちまでのカリキュラム例
ここでは、新人研修のカリキュラムを4つの段階に分けた一例を紹介します。各段階の期間は、新人の経験や商材の難しさに合わせて調整してください。
第1段階:基礎を知る
- インサイドセールスの役割と、マーケティング・フィールドセールスとの関係
- 自社の商材、顧客の業界と典型的な課題
- CRMやSFAなど、日々使うツールの操作
- リードの状態の考え方と、商談として引き渡す基準
インサイドセールスコンソーシアムでは、リードの状態を「BYNAME(キーマンの特定)」「KEEP(情報提供の許諾)」「PROBLEM(課題把握)」「SOLUTION(解決策の検討)」「PROSPECT(見込み客)」「PASSUP(アポ獲得)」の6段階で定義しています。こうした共通の言葉を最初に覚えると、先輩とのやり取りもスムーズになります。
第2段階:見て、真似る
- 先輩の通話を横で聞き、会話の流れとメモの取り方を学ぶ
- お手本の録音を聞き、良いポイントを書き出す
- トークスクリプトを使ったロールプレイを繰り返す
第3段階:やってみる
- 対応しやすいリードから実際に連絡を始める
- 一日の終わりに、録音を使って教育担当者と振り返る
- ヒアリングの記録を確認してもらい、書き方を整える
第4段階:一人で回す
- 担当するリードの幅を広げ、商談の引き渡しまでを一人で行う
- 振り返りの頻度を少しずつ減らし、自分で改善点を見つける習慣をつける
- 独り立ちの基準に照らして、上司と一緒に到達度を確認する
新人研修を効果的に進めるポイント
座学と実践を早めに行き来する
知識を詰め込む期間が長すぎると、実際に話すときに使えません。基礎を学んだら早めにロールプレイや実際の連絡を始め、わからないことが出てきたら座学に戻る、という往復を意識しましょう。
振り返りは「具体的に」「すぐに」
「もっと深く聞こう」という抽象的なアドバイスでは、新人は何をすればよいかわかりません。録音を聞きながら「この場面では、こう質問するとよかった」と具体的に伝え、記憶が新しいうちに振り返ることが大切です。
できたことを言葉にして伝える
新人は、できていないことばかりに目が向きがちです。改善点だけでなく、できるようになったことを具体的に伝えると、自信がつき、次の挑戦への意欲が高まります。
一人ひとりのつまずきに合わせる
同じ時期に入社しても、つまずくポイントは人によって違います。全員に同じ内容を同じ順番で教えるのではなく、一人ひとりの課題を把握し、必要な練習を重点的に行いましょう。育成全体の考え方はインサイドセールスの育成方法でも紹介しています。
新人がつまずきやすいポイントと対策
新人研修では、多くの新人が同じようなところでつまずきます。あらかじめ把握しておくと、先回りして支援できます。
| つまずきやすいポイント | 起こりやすいこと | 対策 |
|---|---|---|
| 電話をかけることへの緊張 | 連絡を後回しにしてしまう | ロールプレイで練習を重ね、対応しやすいリードから始める |
| スクリプトの読み上げ | 会話が一方的になり、相手の話を聞けない | スクリプトは流れの目安と伝え、相手の答えに反応する練習をする |
| 深掘りができない | 表面的な課題で話が終わる | 「なぜ」「具体的には」と聞く練習を、録音を使って繰り返す |
| 断られたときの落ち込み | 意欲が下がり、行動が止まる | 断られた理由を一緒に整理し、次に活かせる情報として扱う |
| 記録の不足 | 引き継ぎや振り返りがしにくくなる | 記録する項目を決め、通話の直後に残す習慣をつける |
独り立ちの判断基準の例
独り立ちの基準は、件数などの数字だけでなく、行動やプロセスも含めて決めるのがおすすめです。例えば、次のような項目を組み合わせて判断します。
- 商材とよくある質問について、資料を見ずに説明できる
- ヒアリングで、課題とその背景まで聞き出せている
- リードの状態を正しく判断し、引き渡しの基準を守れている
- ヒアリングの記録が、フィールドセールスが使える形で残せている
- 自分の通話を聞き、改善点を自分で見つけられる
外部研修を活用した事例
新人研修を社内だけで設計・運用するのが難しい場合は、外部のインサイドセールス研修を活用する方法もあります。インサイドセールスコンソーシアムの人材養成講座では、受講前に一人ひとりのスキルと課題を把握し、レベルに合ったプログラムを設計したうえで、実践ワークを中心に学べます。新人の一括育成にも対応しています。
インサイドセールスコンソーシアムの導入事例では、独立系SIerのA社で、新人の独り立ちまでの期間を3か月短縮しています。新人育成に課題を感じている場合は、導入事例もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 新人研修はどのくらいの期間で行えばよいですか?
A. 新人の経験や商材の難しさによって異なります。期間を先に決めるよりも、独り立ちの基準を決め、到達度を確認しながら進めるのがおすすめです。
Q. 営業経験者にも新人研修は必要ですか?
A. 必要です。対面営業の経験があっても、インサイドセールス特有の会話の進め方や、リードの見極め、記録の残し方は改めて学ぶ必要があります。経験に応じて、基礎の段階を短くするなど調整しましょう。
Q. 教育担当の先輩の負担が大きくなりませんか?
A. 研修の計画表やお手本の録音を用意しておくと、教える内容がそろい、先輩の負担を減らせます。教育担当者の業務目標を調整し、教えることも評価する仕組みにすると、チームで新人を育てる文化が根づきます。
まとめ
インサイドセールスの新人研修は、事前の準備、段階に分けたカリキュラム、具体的ですぐに行う振り返り、そして明確な独り立ちの基準がそろうことで効果を発揮します。新人一人ひとりのつまずきに合わせて進め、早く自信を持って現場に立てるよう支えていきましょう。
新人の育成を仕組み化したい方へ
インサイドセールスコンソーシアムの人材養成講座では、受講前に一人ひとりのスキルと課題を把握し、実践ワークを中心に新人の一括育成を支援します。
