「せっかく育ったメンバーが辞めてしまう」「採用しても、なかなか定着しない」という悩みは、インサイドセールスの現場でよく聞かれます。メンバーが入れ替わるたびに採用と育成をやり直すことになり、チームの成果も安定しません。
インサイドセールスの離職は、本人の向き不向きだけでなく、育成やマネジメントの仕組みに原因があることも少なくありません。この記事では、離職が起きやすい理由と、定着率を高めるための育成とマネジメントの仕組みを解説します。
インサイドセールス研修の全体像(研修の種類・学ぶべき内容・研修会社の選び方・効果測定)は「インサイドセールス研修とは?内容・カリキュラム・選び方と効果を出す進め方」で解説しています。
インサイドセールスで離職が起きやすい理由
インサイドセールスの仕事には、ほかの職種とは違う負担のかかり方があります。離職を防ぐには、まずその理由を理解することが大切です。
| 離職につながりやすい理由 | 具体的な状況 |
|---|---|
| 断られることが続く | 電話やメールで断られる経験が重なり、自信をなくしてしまう |
| 成長の実感が持てない | 何ができるようになったのかがわからず、同じ作業の繰り返しに感じる |
| 評価が数字だけになっている | 件数だけで評価され、工夫や努力が認められていないと感じる |
| キャリアの先が見えない | この仕事を続けた先に、どんな道があるのかがわからない |
| 育成が場当たり的 | 教え方が人によって違い、困ったときに相談できる相手がいない |
| 仕事の価値が伝わっていない | 「アポを取るだけの仕事」と見られ、会社の中での役割が実感できない |
これらの多くは、本人の努力だけでは解決できません。会社として仕組みを整えることで、防げる離職は多くあります。
定着率を高める育成の仕組み
入社直後のオンボーディングを設計する
入社して最初の時期は、不安を感じやすく、離職の判断にもつながりやすい時期です。最初の数週間で何を学び、いつごろから架電を始め、どの状態になれば独り立ちとするのかを、あらかじめ計画として示しておきましょう。ゴールが見えていると、本人も安心して取り組めます。
スキルを段階で定義し、成長を見える化する
「何ができれば一人前なのか」が曖昧だと、成長の実感が持てません。スキルを段階に分けて定義し、今どこにいて、次に何を身につければよいのかを示すことが、モチベーションの維持につながります。
インサイドセールスコンソーシアムのインサイドセールス検定では、スキルを「知る」「わかる」「できる」「教えられる」の4段階で整理し、3級から1級までの級ごとに公式テキストを用意しています。こうした外部の基準を使うのも一つの方法です。詳しくはインサイドセールスの資格・検定をご覧ください。
教え方をチームでそろえる
先輩によって教え方が違うと、新人は混乱します。トークスクリプトやヒアリング項目、記録のルールなどを共通の教材として整理し、誰が教えても同じ内容が伝わるようにしましょう。育成の全体像はインサイドセールスの育成方法でも解説しています。
伸び悩むメンバーを早めに支える
成果が出ない期間が長く続くと、本人は「向いていない」と思い込み、離職を考え始めます。録音を一緒に聞いて改善点を具体的に伝える、ロールプレイで練習するなど、早めに個別の支援を行うことが大切です。
定着率を高めるマネジメントの仕組み
数字だけでなく行動とプロセスも評価する
商談の件数だけで評価すると、担当するリードの状況や運に左右され、努力が報われないと感じやすくなります。ヒアリングの質や、リードの段階を進めた件数、チームへのノウハウ共有など、行動やプロセスも評価の対象に加えましょう。
定期的な1on1で状況を把握する
1on1は、成果の確認だけでなく、本人の悩みや考えていることを聞く場です。次のような点を意識すると、話しやすい場になります。
- 最初に本人が話したいテーマを聞く
- うまくいったことを具体的に認める
- 困っていることは、一緒に原因と次の一手を考える
- 今後挑戦したいことやキャリアの希望を聞く
キャリアパスを示す
インサイドセールスの経験は、フィールドセールスやマーケティング、カスタマーサクセス、マネジメントなど、さまざまな仕事に活かせます。社内でどんな道があるのかを示し、本人の希望を聞きながら一緒に考えることで、目の前の仕事の意味も伝わりやすくなります。
仕事の価値をチームの外にも伝える
インサイドセールスが引き渡した商談が受注につながったときは、その結果をチームに共有しましょう。フィールドセールスや経営層から感謝や評価が届くと、自分の仕事が会社の成果につながっていると実感できます。
離職の兆しに気づくポイント
離職は、ある日突然起きるように見えて、事前に兆しが表れていることがあります。次のような変化に気づいたら、早めに声をかけましょう。
- 以前より発言や質問が減った
- 活動量や記録の丁寧さが急に変わった
- 1on1で将来の話を避けるようになった
- 断られた後の切り替えに時間がかかるようになった
変化に気づいたときは、問い詰めるのではなく、「最近どう?」と話を聞く姿勢で接することが大切です。
チームで支え合う環境をつくる
インサイドセールスは、一人で電話に向き合う時間が長い仕事です。そのため、孤立を感じさせないチームの雰囲気づくりも、定着率を左右します。
- うまくいった会話を共有する:商談につながった通話や、断られた後に関係が続いた例をチームで紹介し合います。
- 困りごとを気軽に相談できる場を設ける:短い朝会や週次の振り返りで、悩みを言葉にできる時間をつくります。
- 小さな成果を認め合う:件数だけでなく、新しい質問を試した、記録を工夫したといった行動もチームで認めます。
- 先輩が後輩を支える仕組みをつくる:相談相手となる先輩を決めておくと、新人は上司に聞きにくいことも相談しやすくなります。
こうした取り組みは、特別な費用をかけずに始められます。断られることが多い仕事だからこそ、チームの中で認められる経験が、続ける力になります。
管理者の育成力を高める
育成やマネジメントの仕組みを整えても、それを運用する管理者に教える力や話を聞く力がなければ、効果は限られます。管理者自身が、育成の方法や1on1の進め方を学ぶ機会を設けることも、離職を防ぐための大切な取り組みです。プレイヤーとして優秀だった人が、そのまま教える立場で成果を出せるとは限らないため、教える側の育成にも目を向けましょう。
導入事例:離職率が30%から5%に
インサイドセールスコンソーシアムの導入事例では、SaaS企業のC社で、営業組織の離職率が30%から5%に改善しています。育成とマネジメントの仕組みを見直すことで、定着率は高められることを示す事例です。詳しい内容は導入事例をご覧ください。
よくある質問
Q. 離職を防ぐために、まず何から始めればよいですか?
A. まずは、辞めたメンバーや今のメンバーの声から、離職の理由を把握することから始めましょう。理由がわかれば、オンボーディング、評価、キャリアパスなど、優先して整えるべき仕組みが見えてきます。
Q. 採用の段階でできる対策はありますか?
A. 仕事の内容や大変な点を、採用の段階で正直に伝えることが大切です。入社後のギャップが小さくなり、定着しやすくなります。どんな人が活躍しやすいかは、インサイドセールスに向いている人も参考にしてください。
Q. 給与や待遇を上げれば、離職は防げますか?
A. 待遇も大切ですが、それだけで防げるとは限りません。成長の実感が持てない、評価に納得できないといった理由での離職は、育成やマネジメントの仕組みを整えることで防げる場合があります。
まとめ
インサイドセールスの離職は、断られる経験の積み重ねや、成長の実感が持てないこと、評価やキャリアの見えにくさなどから起きやすくなります。オンボーディングの設計、スキルの見える化、行動も含めた評価、1on1、キャリアパスの提示、そして管理者の育成力の強化を通じて、メンバーが長く活躍できるチームをつくっていきましょう。
メンバーの定着と育成に悩んだら
インサイドセールスコンソーシアムの人材養成講座では、受講前にスキルと課題を把握したうえで、実践ワークを中心に育成します。新人の一括育成、伸び悩むメンバーのマンツーマン支援、管理者の育成力強化まで対応しています。
