まだ自社と接点のない企業に自らアプローチし、商談の機会をつくる「BDR(新規開拓型インサイドセールス)」。大手企業や特定の業界を狙って開拓したいときに欠かせない役割ですが、「断られ続けて担当者が疲弊する」「育て方がわからない」という声も多く聞かれます。
BDRは、反響型のSDRとは異なるスキルが求められるため、専用の視点で育成を設計することが大切です。この記事では、BDR研修で身につけるべきスキル、カリキュラムの例、研修の進め方を解説します。
インサイドセールス研修の全体像(研修の種類・学ぶべき内容・研修会社の選び方・効果測定)は「インサイドセールス研修とは?内容・カリキュラム・選び方と効果を出す進め方」で解説しています。
BDR研修とは
BDR研修とは、新規開拓型のインサイドセールスを担う人が、ターゲットの選定からキーマンへのアプローチ、商談化までを自ら進められるようにするための研修です。BDRは「Business Development Representative」の略で、自社がアプローチしたい企業を選び、電話やメール、手紙などで接点をつくります。
相手はまだ自社に関心を持っていないことが多いため、「なぜ今、この会社に連絡するのか」を自分で説明できる力が必要です。SDRとの違いはSDRとBDRの違いで詳しく解説しています。
SDRとBDRで研修の重点はどう違うか
| 項目 | SDR研修 | BDR研修 |
|---|---|---|
| 相手の状態 | 自社に関心を持っている | まだ自社を知らない、関心がない |
| 重点スキル | 素早い対応、見極め、ナーチャリング | ターゲット選定、企業研究、キーマンへの到達 |
| 会話の入り方 | 反響の内容を起点に話す | 相手にとっての価値を短く伝える |
| 成果が出るまで | 比較的短い | 関係づくりに時間がかかることが多い |
BDR研修で身につけるべきスキル
1. ターゲット選定と企業研究
BDRの成果は、誰にアプローチするかで大きく変わります。自社の商材が役立つ企業の条件を整理し、アプローチ先のリストをつくる力が必要です。あわせて、相手企業の事業内容や最近の取り組みを調べ、課題の仮説を立てる練習を行います。
2. キーマンの特定と到達
新規開拓では、まず誰と話すべきかを特定することが出発点です。インサイドセールスコンソーシアムがリードの状態を定義した6段階でも、最初の段階は「BYNAME(キーマンの特定)」です。受付を通過する話し方や、部署や役職からキーマンをたどる考え方を学びます。
3. 価値を短く伝えるトーク
関心のない相手に長く説明しても、聞いてもらえません。相手の業界や立場に合わせて、「どんな課題を、どう解決できるのか」を短く伝える力が求められます。基本の型はトークスクリプトの作り方も参考になります。
4. 断られたときの対応
BDRでは、断られる場面が多くなります。「今は必要ない」「情報だけ送って」などの反応に対して、関係を切らずに次の接点につなげる対応を学びます。
5. 複数の接点を組み合わせる力
電話だけでなく、メールや手紙、オンラインでの接点などを組み合わせ、時間をかけて関係をつくる計画を立てる力も重要です。
BDR研修を設計する前に決めておくこと
BDR研修の内容は、自社がどの市場を狙うのかによって変わります。研修を始める前に、次の点を社内で整理しておきましょう。
- 狙う市場と企業の条件:業界、企業規模、地域など、アプローチすべき企業の特徴
- 話すべき相手:どの部署の、どの役職の人と話すべきか
- 提供できる価値:その相手のどんな課題を、自社の商材でどう解決できるか
- 引き渡しの基準:どの状態になったらフィールドセールスに引き渡すか
- 評価の方法:商談数以外に、どの段階の成果を評価するか
これらが曖昧なまま研修を行うと、担当者は「誰に、何を話せばよいのか」がわからず、行動量だけが増えてしまいます。研修は、会社としての開拓方針を担当者に伝える場でもあると考えましょう。
BDR研修のカリキュラム例
BDR研修のカリキュラムの一例です。受講者の経験や、自社が狙う市場に合わせて調整してください。
| 段階 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 役割の理解 | BDRの役割、新規開拓の全体の流れ、フィールドセールスとの分担 |
| 2 | ターゲット設計 | アプローチすべき企業の条件、リストのつくり方、優先順位のつけ方 |
| 3 | 企業研究と仮説づくり | 公開情報の調べ方、課題の仮説の立て方、仮説の共有 |
| 4 | キーマンへの到達 | 受付での話し方、キーマンのたどり方、ロールプレイ |
| 5 | トークと切り返し | 価値を短く伝える話し方、断られたときの対応 |
| 6 | 接点の設計 | 電話・メール・手紙などの組み合わせ方、再連絡のタイミング |
| 7 | 実践と振り返り | 実際の通話の振り返り、仮説の検証、アプローチ計画の見直し |
BDR研修の効果を高める進め方
仮説づくりをチームで行う
企業研究や仮説づくりは、一人で行うと視野が狭くなりがちです。研修の中で同じ企業について仮説を出し合い、フィールドセールスやマーケティングの意見ももらうと、仮説の質が上がります。
断られた理由を「学び」に変える
断られた経験は、ターゲットやトークを見直すための大切な材料です。断られた理由を記録し、チームで分類して振り返る時間を研修に組み込みましょう。気持ちの面でも、断られることを「失敗」ではなく「情報」と捉えられるようになると、担当者の負担が軽くなります。
行動量だけでなくプロセスを評価する
BDRは成果が出るまでに時間がかかるため、商談数だけで評価すると担当者が疲弊しやすくなります。例えば、キーマンを特定できた数や、情報提供の許諾を得られた数など、途中の段階も評価に含めると、成長を実感しやすくなります。指標の考え方はKPI設計も参考にしてください。
BDR研修でよくある失敗
- 架電数だけを追わせる:リストの質や仮説が置き去りになり、断られる回数ばかり増えてしまいます。
- SDRと同じトークを使う:関心のない相手には響かず、話を聞いてもらえません。
- 研修後のフォローがない:断られ続けると自信をなくしやすいため、定期的な振り返りと声かけが欠かせません。
研修後に管理者が果たす役割
BDRの育成は、研修だけでは完結しません。研修後に現場で成長を支えるのは管理者です。管理者には、次のような関わり方が求められます。
- 週に一度など定期的に通話の録音を一緒に聞き、良かった点と改善点を具体的に伝える
- アプローチ先のリストや仮説を一緒に見直し、優先順位を調整する
- 断られることが続いたときに、行動の量ではなく工夫の中身に目を向けて声をかける
- チーム内で成功した会話や仮説を共有する場をつくる
管理者自身が教え方を学ぶことも、BDRチームの成果を安定させるうえで大切です。
社内だけで育成が難しい場合は
BDRは、教える側にも新規開拓の経験とノウハウが求められます。社内に教えられる人がいない場合は、外部のインサイドセールス研修を活用するのも一つの方法です。インサイドセールスコンソーシアムの人材養成講座では、受講前に一人ひとりのスキルと課題を把握し、レベルに合ったプログラムを設計します。新人の一括育成から、伸び悩むメンバーのマンツーマン支援、管理者の育成力強化まで、実践ワークを中心に支援しています。
よくある質問
Q. BDRは未経験者でも育成できますか?
A. 育成できます。ただし、新規開拓は断られる場面が多いため、最初はターゲットや仮説を上司と一緒に考え、小さな成功体験を積めるように設計することが大切です。
Q. BDR研修にはどのくらいの期間が必要ですか?
A. 受講者の経験や商材によって異なります。基本的な研修のあとも、実践と振り返りを繰り返す期間を設けることをおすすめします。
Q. BDRとフィールドセールスの役割はどう分ければよいですか?
A. どの状態になったら商談として引き渡すのか、基準を事前に決めておくことが大切です。研修の段階からフィールドセールスにも参加してもらうと、基準のすり合わせが進みます。
まとめ
BDR研修では、ターゲット選定と企業研究、キーマンへの到達、価値を短く伝えるトーク、断られたときの対応、複数の接点の組み合わせを学ぶことが大切です。成果が出るまでに時間がかかる役割だからこそ、途中の段階も評価し、振り返りを続けて担当者の成長を支えましょう。
新規開拓を担う人材を育てたい方へ
インサイドセールスコンソーシアムの人材養成講座では、受講前に一人ひとりのスキルと課題を把握し、実践ワークを中心にレベルに合ったプログラムで育成を支援します。
