インサイドセールスは、毎日多くの電話やメールを重ねる仕事です。成果が数字ではっきり見える一方で、断られる場面も多く、メンバーのモチベーションやスキルの差がチームの成果に直結します。
そのため、インサイドセールスのチームが成果を出し続けるには、マネージャーの関わり方が重要になります。この記事では、インサイドセールスのマネジメントで押さえたいポイントと、1on1やフィードバックの具体的な進め方を解説します。
インサイドセールスのマネジメントが難しい理由
インサイドセールスのマネジメントには、ほかの営業組織とは違う難しさがあります。
- 活動量が多く、数字に追われやすい:架電数や商談数を毎日追いかけるうちに、数字の管理だけがマネジメントになってしまいがちです。
- 断られる経験が多い:断られることが続くと、自信をなくしたり、仕事の意味を見失ったりするメンバーも出てきます。
- 成果がほかの部門に左右される:リードの質はマーケティングに、商談の結果はフィールドセールスに影響されるため、自分の努力が見えにくくなります。
- スキルの差が数字に出やすい:同じリストに同じように電話をしても、話し方や質問の仕方で結果が大きく変わります。
こうした特徴を踏まえると、インサイドセールスのマネジメントでは、数字の管理と人の育成の両方に目を向ける必要があることがわかります。
インサイドセールスのマネージャーの役割
インサイドセールスのマネージャーには、主に次のような役割があります。
| 役割 | 主な内容 |
|---|---|
| 目標と指標の管理 | KPIを設計し、進み具合を確認して打ち手を考える |
| メンバーの育成 | 通話を聞いてフィードバックし、スキルを伸ばす |
| モチベーションの維持 | 1on1で状態を把握し、成長や貢献を実感できるようにする |
| 他部門との連携 | マーケティングやフィールドセールスと基準や情報をすり合わせる |
| 仕組みの改善 | トークスクリプトやリスト、ツールの使い方を見直す |
どれか1つに偏ると、チームは長く成果を出し続けられません。特に、数字の管理に時間を取られて育成やモチベーションの維持が後回しになっていないか、定期的に振り返ることが大切です。
数字の見方:結果だけでなくプロセスを見る
マネジメントの基本は、数字を正しく見ることです。商談数のような結果の数字だけを見ていると、「足りないからもっと電話をしよう」という指示しか出せません。
架電数、接続数、会話数、課題を聞けた件数、商談数のように、プロセスを段階に分けて数字を見ると、メンバーごとにどこでつまずいているのかがわかります。例えば、接続はできているのに課題を聞けた件数が少ないメンバーには、ヒアリングの練習が必要だと判断できます。指標の設計についてはKPI設計の記事も参考にしてください。
また、数字はチーム全体の平均だけでなく、メンバーごとに見ることも大切です。平均では問題がなさそうに見えても、特定のメンバーが大きくつまずいていることがあります。数字の変化に早く気づければ、声をかけるタイミングも逃しにくくなります。
成果を出すチームをつくる1on1の進め方
1on1は、マネージャーとメンバーが1対1で定期的に話す場です。インサイドセールスでは、メンバーの状態を把握し、成長を支えるための重要な場になります。
1on1は「メンバーのための時間」にする
1on1を数字の詰めや進捗報告の場にしてしまうと、メンバーは本音を話さなくなります。1on1はメンバーが話したいことを話す場であり、マネージャーは聞き役に回ることを意識しましょう。
1on1で話すテーマの例
- 最近うまくいったこと、うまくいかなかったこと
- 仕事で困っていること、悩んでいること
- 伸ばしたいスキルや、挑戦したい仕事
- チームや仕事の進め方について気になること
- 将来のキャリアについての考え
1on1を続けるためのコツ
- 頻度と時間を決めておく:忙しいときほど後回しにされやすいため、あらかじめ予定に入れておきます。
- 前回の内容を振り返る:前回話したことに触れると、「ちゃんと覚えてくれている」という安心感につながります。
- 次の行動を決めて終える:話して終わりにせず、次回までに何をするかを一緒に決めます。
伝わるフィードバックの進め方
インサイドセールスのスキルを伸ばすうえで、通話へのフィードバックは欠かせません。ただし、伝え方を誤ると、メンバーのやる気を下げてしまうこともあります。
具体的な場面をもとに伝える
「もっとヒアリングを深めて」のような抽象的な指摘では、何を変えればよいかが伝わりません。通話の録音を一緒に聞きながら、「この場面で、もう一歩『なぜ』を聞けるとよかった」と、具体的な場面を示して伝えましょう。
良い点を先に伝える
改善点だけを伝えると、メンバーは否定されたと感じがちです。まずはうまくできていた点を具体的に伝え、そのうえで改善点を1つか2つに絞って伝えると、受け止めてもらいやすくなります。
本人に考えてもらう
「この通話で、自分ならどこを変えたいと思う?」と問いかけ、本人に気づいてもらうことも大切です。自分で気づいたことは、指摘されたことよりも行動に移りやすくなります。
離職を防ぐためのマネジメント
インサイドセールスでは、断られる経験の多さや、成長の実感を持ちにくいことから、メンバーが離職してしまうケースもあります。離職を防ぐには、日々の小さな成長を言葉にして認めること、チームで成功事例を共有して称え合うこと、メンバーが将来のキャリアを描けるよう支えることが大切です。
例えば、インサイドセールスコンソーシアムの支援を導入したSaaS企業のC社では、離職率が30%から5%に下がりました。人を育てる仕組みを整えることが、チームの定着にもつながることを示す例といえます。育成の具体的な進め方はインサイドセールスの育成方法でも解説しています。
マネジメントでよくある失敗
| 失敗 | 改善のポイント |
|---|---|
| 架電数だけで評価してしまう | プロセスの数字や商談の質もあわせて評価する |
| マネージャーが自分で電話をかけ続けてしまう | 育成と仕組みづくりに使う時間を確保する |
| 1on1が数字の確認の場になっている | 数字の話は定例で行い、1on1はメンバーの話を聞く場にする |
| フィードバックが感覚的で人によって違う | 評価の観点をそろえ、チームで共有する |
よくある質問
Q. 1on1はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
A. チームの人数やメンバーの経験によって変わります。新しく入ったメンバーや悩みを抱えているメンバーとは頻度を高め、慣れてきたら間隔を調整するなど、状況に合わせて決めましょう。大切なのは、決めた頻度を守って続けることです。
Q. プレイングマネージャーでも育成の時間を取れますか?
A. 自分の架電と育成を両立するのは簡単ではありません。通話を聞く時間や1on1の時間をあらかじめ予定に入れ、守るべき時間として確保することが大切です。育成の一部をトレーナー役のメンバーに任せる方法もあります。
Q. マネージャー自身のスキルを高めるにはどうすればよいですか?
A. 社外の研修や講座で、育成やフィードバックの方法を体系的に学ぶのがおすすめです。ほかの企業のマネージャーと悩みを共有することも、自分のマネジメントを見直すきっかけになります。
まとめ
インサイドセールスのマネジメントでは、数字の管理だけでなく、メンバーの育成とモチベーションの維持に目を向けることが大切です。プロセスの数字でつまずきの場所を見つけ、1on1でメンバーの状態を把握し、具体的なフィードバックでスキルを伸ばしていきましょう。こうした積み重ねが、成果を出し続けるチームと、メンバーが長く活躍できる職場につながります。
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