大企業や特定の業界を狙う営業では、「とにかく多くの企業に連絡する」方法がうまくいかないことがあります。そこで注目されているのが、狙う企業を絞り込み、一社ごとに深くアプローチする「ABM(アカウントベースドマーケティング)」です。

この記事では、ABMの基本と、ABMの中でインサイドセールスが果たす役割、進め方を解説します。

ABMとは

ABM(Account Based Marketing)とは、自社にとって価値の高い企業(アカウント)をあらかじめ選び、その企業に合わせた施策を集中して行う考え方です。多くのリードを集めて絞り込んでいく従来の進め方とは、順番が逆になります。

項目従来の進め方ABM
起点多くのリードを集める狙う企業を先に決める
対象個人の担当者企業全体(複数の関係者)
施策多くの人に同じ内容を届ける企業ごとに内容を合わせる
向いている商材単価が低め、検討者が少ない単価が高い、関係者が多い

ABMでインサイドセールスが担う役割

企業の中の関係者を把握する

高単価の商材では、導入の判断に複数の部署や役職の人が関わります。インサイドセールスは、電話やメールでのやり取りを通じて、誰が課題を持っているのか、誰が決裁するのかを明らかにしていきます。

企業ごとの仮説を持ってアプローチする

ABMでは、相手企業の事業や課題について仮説を立ててからアプローチします。公式サイト、決算資料、プレスリリース、採用情報などから情報を集め、「この企業ならこの課題があるはず」という見立てを持って会話することで、短い時間でも関心を持ってもらいやすくなります。

複数の接点をつなぐ

同じ企業の別の担当者が、セミナーに参加していたり、資料をダウンロードしていたりすることがあります。こうした接点をまとめて把握し、企業全体の関心の高まりを捉えるのもインサイドセールスの役割です。

ABMの進め方

  1. 狙う企業を選ぶ:取引規模や成長性、自社との相性から、重点的に狙う企業を選びます。最初は数十社程度に絞ると運用しやすくなります。
  2. 企業ごとに情報を整理する:組織、関係者、課題の仮説、過去の接点をまとめます。
  3. アプローチの計画を立てる:誰に、どの順番で、どの手段で連絡するかを決めます。
  4. 営業・マーケティングと共有する:同じ企業に対して、部門ごとにばらばらの連絡をしないよう、情報と計画を共有します。
  5. 企業単位で成果を振り返る:個人ごとの反応だけでなく、企業全体で商談や受注に近づいているかを確認します。

ABMを始めるときの注意点

  • 成果が出るまでに時間がかかるため、短期の件数だけで評価しない
  • 狙う企業を増やしすぎると、一社ごとの準備が浅くなる
  • 部門間で情報が共有されていないと、同じ企業に何度も連絡してしまう

よくある質問

Q. 中小企業向けの商材でもABMは使えますか?

A. 一社ごとの取引規模が小さい場合、企業ごとに深く準備する方法は手間に見合わないことがあります。その場合は、業種や課題が共通するグループごとに内容を合わせる方法が取り入れやすいでしょう。

Q. ABMに向いているのはSDRとBDRのどちらですか?

A. まだ接点のない企業に働きかけることが多いため、新規開拓型のBDRが中心になるケースが多く見られます。役割の違いはSDRとBDRの違いをご覧ください。

まとめ

ABMは、狙う企業を先に決め、一社ごとに深くアプローチする考え方です。インサイドセールスは、関係者の把握、仮説を持ったアプローチ、複数の接点の統合を通じて、ABMの成果を大きく左右します。営業やマーケティングと情報を共有しながら、企業単位で成果を振り返ることが成功のポイントです。

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